ごめんね |
あなたのいない町を歩く あなたとつないでいない手のひらを見る あなたに抱かれていない肩にそっと触れる 待つことさえも喜びだった あなたに会えるまでの、ほんの少しの距離がもどかしくて、 思わず息を切らして、駆け出していた あの日の私はどこへ行ってしまったんだろう あの頃のときめきはどこへ消えてしまったんだろう? ずっと変わらない愛というのも、本当にあると思っていた でも今は、 たとえば水や空気と同じように、 変わらずにそこにあるように感じても 一瞬ずつをきりとってしまえば、 決して前と同じものではないのだと 少しずつ流れて、変化していくものなのだと思っている だから、 昨日よりあなたを愛している、と思える日もあるけれど 昨日より愛していない、と認めなくてはならない日も来るだろう 「そっちのほうから、先に離れていくことはないと思っている」 「すごいうぬぼれ!」 文句を言ったけれど、笑ってしまった あの時、あなたも笑っていた くつろいだ笑いだった いつか、 自分の手であの笑みを消してしまうことになるのかと思うと、 少しこわい どんなに平気なふりをしていても、 わりと傷つきやすい人だということも知っているから…… あなたが日々、変わっていったように 私も少しずつ変わっているのです だから ごめんね その時は本当に、 ごめんなさい、というしかないんですね |