ば か
 
 
 
馬鹿、
 
というのは不思議な言葉で
 
馬と鹿が何の悪いことをしたわけでもあるまいに
 
出来あがってから今まで
 
何度唐突な引き合いに出されたかわからず
 
彼らはさぞ迷惑していることだろう
 
 
 
同じ「馬鹿」にも実にさまざまなバリエーションがあり
 
この馬鹿!と怒鳴られるときもあれば
 
馬鹿なことをする、と軽蔑されるときもあれば
 
ばーか、とあざけられるときもあるだろう
 
ばっかみたい、というのは呆れたとき……
 
 
 
 
私が一番好きな馬鹿の使い方は
 
女性が好きな男に向かって
 
思わず
 
「ばか」
 
と恥ずかしそうにつぶやくときかな
 
この時の「ぱか」、に代わる
 
やさしい使い方を私は知らない
 
 
 
 
願わくば
 
そういう「馬鹿」を
 
永く言い合えるような仲でいたいものだ
 
 
 




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