いま……
 
 
 
君の胸に耳を当てて
 
いのちの響きを聞いてみる
 
汗で少し冷えた肌が
 
頬との間から外気を追いやって
 
二人の距離がゼロであることを教える
 
 
 
 
その他にあるものは
 
お互いの呼吸と
 
どちらかが手をのばせば
 
蔓のように絡んでくる指先
 
同じ匂いの中に包まれているんだ
 
 
 
 
眠りにつく前にもう一度
 
ふと顔を上げてみた
 
いい?という言葉もなく
 
しぐさで応答を交わした
 
すると君との距離は
 
ゼロからマイナスになっていた
 
 
 
 
許されるならこの瞬間をきりとって
 
待つための時間の中に貼っておきたい
 
いま
 
世界の何もかもが
 
消滅してしまうことを願った
 
 
 
 
 
 




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