人を信じること
 
 
私という人間は
 
たぶん必要以上に
 
人を信じることを怖れているのだ
 
過去の手痛い経験が
 
新たな傷口を作ることを予防して
 
臆病にさせていることは確かだけれど
 
 
 
これは相手にしてもつまらん、と思えば
 
黙って心の中で切り捨ててあきらめてしまうし
 
仲良くしていたい人とは
 
喧嘩をすることすら避けてきている
 
言ったほうが当人のためになるようなことでも
 
自分が口にすることで牙をむかれてもかなわん、と
 
思ってしまうし
 
どうでもいいと感じる人の事は
 
なるべく関わりあいになるまいとする
 
 
 
 
大人になるということは
 
心にはなくとも笑みを浮かべてみせたり
 
知らぬ顔でやりすごすすべを覚えてゆくことだと思ってきた
 
 
 
 
人を傷つけたくないから、というのは詭弁の最たるもので
 
本当は、自分が傷つきたくないだけに過ぎない
 
心のどこかでは
 
人のことなど、知ったこっちゃない、と思っている
 
小心で卑怯な自分がいる
 
 
 
 
 
人を信じることをためらったり
 
人にストレートな愛情を持てないのは
 
自分をあまり愛していないからなのだろう
 
自分という器を広くしてやらなければ
 
より大きな愛も信頼も、
 
たとえ幸運にも、人から注がれることがあっても
 
無駄にこぼれてしまうものだということに
 
最近になって気づいたようだ
 
 
 
 
遅きに失したかもしれないが
 
少しずつでも、かたい器を練り直して
 
昨日よりは大きな器にしてやろう
 
その過程では、新たなひびや割れが生ずるかもしれないが
 
或いは粉々に砕けてしまう危険があるかもしれないが
 
こわれてしまえば作り直せるだけの勇気を持ちたいと思う
 
 
 
 
愛も信頼も
 
勝敗のつくことではないのだから
 
破れたと思っても
 
裏切られたと思っても
 
それは誰に負けたことにもなるまい
 
 
 
 
「簡単に人を信じたら駄目だよ」
 
「深入りはしないようにね」
 
という忠告も
 
受け止めることはしておくけれど
 
せめて
 
自分の目で選んだ人たちを
 
もっと深く信じてみようではないか
 
 
 
 
無事なことが目的の人生など寂しいとも思う
 
寂しさを乗り越えるためには
 
まずは求めてみることだ
 
 
 
 
と、いうことで、今日は悩むのは中止
 
昨日より確実に
 
私の心は広がっている
 
 
 
 
本当にありがとう
 
 
 
 
 




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