距 離


遠いね、と

つぶやいている



隣に身を横たえている時にも、

肌にふれられぬままに眠る夜も、

やっぱり同じように、

寂しさが訪れるのはなぜ?



楽しいことばかりじゃない

体が熱くなるほどの苦しさも、

ばかばかしい悩みごとも、

恋の輝きのひとつなのだと、

はじめからわかっている

ずっと後になってから、

ぜんぶ懐かしく思える日が来ることも



わかっていながら、

時々、自分の想いに押しつぶされて息を吐く



近づけば近づくほど、

指の間からこぼれるものを

止めることができないと、

知っているのに……



でもずっと、

君を嫌いにはなれないんだろうな。



君を好きになったことを

恥じることも、

悔いることもしないけれど、

どこまでいっても溶け合えぬものは

たしかな痛みとなって残るだろう



いま君が、

少しでも笑っているように

素直に祈っている



二人のあいだにある空気が、

少しでも暖かな風を含んで、

君を包んでくれますように



遠いね、とつぶやいて

眠ることにします




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