いなかみち |
すこしかなしいことがあったので なつかしい場所を歩いてみたよ 空が青くて こまかい雲や 流れる雲が とても綺麗でみとれていたよ 名前を知らない小鳥が十羽くらい 桑畑からぱあっと飛び立っていったよ カヤの木も藤の木も なんだかさわさわと風にゆれていたよ 塀をのりこえて黄色や赤や白や紫の 夏と秋の花がたくさん咲いていたよ 家と家の間をながれる用水だけは まだ水草がゆらいで澄んでいたよ 帰り道にはトンビが2羽 ふんわり気持ちよさそうに舞っていたよ ゆっくりゆっくり いたんだ足に気をつけながら 電車に乗ったら 高架の上から 燃えるようなくれない色の夕焼けが見えたよ それでまたすこし ひとりで見ることがかなしくなって いっしょにお蕎麦を食べた日のことを 思い出したよ 部屋にかえって 君とはなしたら 泣きたいきもちがすこし消えたよ そしていつもと同じ夜になったよ |