転  換
できないことではなくて
わりと一般的なことで
みんながすでにやっているのは知っている
 
お金さえあれば
ほとんど人任せでもすんでしまうようなこと
 
でもいままでの暮らしを変えるということは
つくってきた思い出もみんな捨てるということだ
楽しかった時や
素敵だった体験や
きれいだったものまで
みんなゴミになってしまわないうちに
これ以上のむなしさが
点火して取り返しがつかなくなるまえに
どうにかしなくてはいけない
それだけは自分がやらなくてはいけない
 
命をかけても守ろうと思ったことが
まるでウソのよう
いっそ神様が決めてくれないか
変えたら何か良いことでも待っているというのか
 
いや違う
たぶん同じ歴史の繰り返し
あがいても もがいても
消え去るまでのわずかなあいだのことでしかない
 
それでも確かにわかっていることは
今よりもぐっすり眠れるようになるだろうということだ
そして
人の顔色を気にするだけの無為な時間が減って
ほんとうにやりたかったことを思い出すだろうということだ
 




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